メイクアップセミナー・レポート -前編-
去る8月末日、福岡と大阪にてロンドン芸術大学メイクアップデモンストレーションを開催しました。ステージに上がったのは、London College of Fashion(以下LCF)で教鞭をとるLiz(自称28)と、彼女の一番弟子Leah(21)。Lizがファッション・メイクアップ、Leahが特殊メイクを担当し、ロンドン発の最先端メイクを披露してくれました。日本の技術とは違うところも多々あったようで、来場者の熱い視線が食い込む食い込む。
Lizが明かす大学の様子や卒業生のキャリア・エピソード、卒業したばかりのLeahが振り返る学生生活、プロジェクトの進め方や作品を作る上でのヒント等、ビジュアル以外にも盛りだくさんの内容に、全校集会や学級会で起きていたことなんてないはずの学生たちも眠るのを忘れて聞き入っていました。
パフォーマーの横顔
LIZ
スコットランド出身。高卒後美容室に入り美容師を目指すも、それだけではクリエイティビティに限界を感じ、アート&デザインの勉強をすることを決意、上京ならぬ上ロンドンをする。以後、一度もスコットランドには帰らずロンドンに住んでウン十年(自称年齢と合わない?)、しかしアクセントは依然スコティッシュの血を主張する気のいいおばちゃん、失礼、お姉さま。レ・ミゼラブルをはじめ数々の舞台、TV・映画等のメイクアップ・アーティストとして活躍。80年代には、ソバージュヘアにボディコンで毎夜踊り狂っていたとか、いないとか。現在はこけしヘアならぬサッスーン・カットに全身黒ファッションで、「いかにもメイクアップアーティスト」という風貌。黒服以外はノー・サンキューの、典型的な業界ファッションで今日も教壇にのぼる。
LEAH
北ロンドン出身。幼い頃からアート&デザインの分野に興味があったため、中学・高校でアートをみっちり勉強する。進路を選ぶ時期になったとき、まずは世界的に有名なロンドン芸大の卒展を見て回ろうと決意、いろいろと見た中でLCFのメイクアップ・コースの学生の作品に一番感銘を受ける。メイクという分野に幅広く自由な可能性を感じ、メイクの分野へ進むことを決意。ファッションは典型的なロンドン・ガール。カムデンタウンにいそうなゴス・パンクで、クールな表情を崩さない。一見クラバー?しかし彼女の淡々・黙々とした仕事ぶりを見るとその地味な真面目さがわかる。が、やはりGreendayを崇拝しているところはファッションそのまま。「グリーンデイ」と言うとうっとりし、TVに映った彼らに向かって「ははぁ~っ」とひれ伏すカワイイ?一面もある。
今回は総勢4名のモデルに協力してもらい、4種類のメイクを披露。はじめはLizによる”Snow and Freckles” (雪とそばかす)というテーマのメイク。このメイクは、LCFのMA(大学院過程)の学生の卒業発表メイクで、冬のイメージで作った卒業コレクションのなかのひとつ、雪がはらはらと大地にふりかかるイメージと肌に浮くそばかすとを重ねたそうだ。あらかじめネットキャップをかぶせて“なんちゃってハゲ”状態の女性モデルにメイクを施していった。下地を作り、色を載せ、という過程で使っている製品のことも説明、女性陣は通訳をたよりに必死にメモを取っていた。見よ、このブラシの数を!これを見ただけで、なんだか美しくなりそうである。
その間、Leahも黙々と準備をすすめる。こちらは男性モデルにコワい特殊メイクを施すとあって、皆ファッション・メイクとは違った意味での興味津々な視線を投げかける。まずはじめに
さて、今回はあらかじめ準備しておいたゼラチン質とゴム素材のマスクを張り合わせてメイクを作り上げていくのだが、椅子に座ったモデルの頭には既に特殊メイクが・・・それも名づけて“本気ハゲ”。女性モデルがかぶっているネットキャップとは違い(これは後でファッション・ウィッグをつけるためにかぶっている)、これはつるつるの頭を作るための“ハゲキャップ”というものをかぶり、継ぎ目もきれいになじませてある。まさに・・・である。ひとつひとつ、丁寧に位置を決めてマスクを載せていくLeahの姿はまさに職人。
見たこともない特殊メイクの世界に目を奪われる一方、Lizの実演する華麗なファッション・メイクもいよいよ佳境に入る。こちらは自分のメイクにも応用できるとあって、皆切実な視線を注ぐ。雪のひとひらを強調するため、そばかすをわざと人工的な雰囲気に描き、口紅をのせ、あとは最後の仕上げを残すのみ。マネキン風に見せるために、わざと縫い目を色のついた毛糸でかがった毛量のうすいカツラをかぶせ、完成!モデルには、客席のあいだをキャット・ウォークしてもらう。
今回モデルが着ている服も、すべてLCFの学生の作品で、他にも数点持ってきていた作品は全てマネキンに着せて会場に展示した。奇抜なデザインの服からクラシカルで可憐なウェディング・ドレス、Central Saint Martins内にあるDrama Centreの演劇科学生とコラボレートして彼らが舞台で着るために作った作品まで、ロンドンらしい軽妙なアイデアや舞台衣装のどっしりとした風合いを間近で見ることができた。さて、ここでショーは一時休憩。休憩時間には、おそるおそる二人のまわりに人が近づき始め、すぐにわらわらと人だかりが。モデルのメイクを携帯で激写、なかにはなぜかLizとLeahを熱心に写メする学生も・・・?
(後編につづく)
投稿者 unicon : 2005年10月25日 14:15