2008年03月28日
ユニ子特派員の
ファウンデーション学生を追え!
BA席ゲットまでの5ヶ月のはなし
2007年度ロンドン芸術大学のファウンデーション入学者の進学先(学部)がぼちぼち決まりつつあるこの時期(毎年2~3月)、ユニコンにもぞくぞくと喜び(たまに落胆)の声が寄せられてきています。
そんな中、現役学生の一人からメールが届きました。臨場感に満ちた大変分かりやすい内容にユニコン感激。「これを現場からのナマ声として、ぜひHPで紹介したい」と本人にお伺いをたてたところ快い承諾をもらいました。みなさんが感じている「ファウンデーション・コースって、実際はどんな感じで進むのかな」「BAのオファーっていつごろどうやって決まるのかな」という疑問に対する答えとなることを祈ってこの現場レポートをお送りします。情報提供者は2007年9月にウィンブルドン・カレッジのファンデーションに入学した下里翔子さん(19)です。
エピソード1 : 2008年3月6日(木)のメール
To: Unicon London
Sent: Thursday, 06 March, 2008 7:57 PM
Subject: お久しぶりです
いつもお世話になっています。下里です。
近況等報告しようかと思いメールしました。ウィンブルドンは相変わらず平和です。今学期の初めに選択学科をVisual Communicationから無理やりFine Artに変更しましたが、特に問題もなく過ごしています(強いて言えばエッセイが大変でしたが)。
進学先は学費の安そうな田舎の大学にしようと思っていたのでUALのコンパクトは利用せず、the Arts Institute at Bournemouthなどに出願して既にオファーをもらっています。が、最近、Assessmentでチューターに「もっと上を目指してみない?」と言われ迷っています。この調子だと結局ルートBでUALに申し込んでしまいそうな事態になりかねないのですが、大丈夫かなーと正直なところ、不安です。
とにかくウィンブルドンは落ち着いているし皆優しいので、気の弱い日本人留学生にはお勧めしたいです。ここにして良かったな、と思います。キャンバーウェル等に行っている友人の話を聞いてみてもここのファウンデーションの質がかなり高い事が分かります。面白いプロジェクトばかりですし、こちらから頼まなくても講師達が代わる代わるやってきてお節介な程相談にのってくれます。エッセイも然りで、何を書けば良いのかすら分からなくてぼーっとしてると、向こうからやって来て相談に乗ってくれるので1から文章を組み立てる事が出来ます。
安心して流れに乗っていれば全ての行程が終わっている、そんな学校です。サバイバルな状況でしごかれつつ生き抜きたいタイプの人は駄目かもしれません。こき下ろされる事もなく、褒められてばかりなので腑抜けにはなりやすいです。
そろそろ卒業制作にとりかからなければならないので、気を引き締めて頑張りたいと思います。最終的な進路が決まりましたら、また事務所にお邪魔させて頂こうかなと思います。
それではまた。失礼します。
<用語集>
エッセイ
学校の授業で書くレポートのこと。
The Art Institute at Bournemouth
ボーンマス(英国南部の町)にある美術大学。
ルートB
UCAS(英国の大学入試管理センター)の定めた申込システムのこと。ルートAとルートBの2種類あり、ルートAはアートも含む全学科、ルートBはアート&デザイン学科専用のルートである。
***UCASについて興味のある人はさらに読みすすんでください。
ルートAでは5校まで、ルートBでは3校まで申込みができる。AとBのコンビネーションで申し込むことも可能(2つあわせて最大で5校まで)。
ルートAの締切は1月中旬、ルートBの締切は3月末。
ルートAでは、UCASから全ての申込大学へいっせいに申込書が送られるが、ルートBでは第一希望から順に送られてゆき、希望の大学への入学が決まった時点で終了する。
エピソード2: コンパクト・スキーム
ところで「コンパクト」というのは何なのでしょうか?
コンパクトは「コンパクト・スキーム(Compact Scheme)」の略語で、UALカレッジのファウンデーションおよびFEコースに所属する学生に対する内部優先面接という特典のことです。
ユニコンの「UALの謎」にもチラリと出てくるエピソードですが、要は自分達で育て上げた内部学生をそのままUAL内のBA(学部課程)に取り込むための仕組みなのですね。
2007年度のコンパクト状況はどうだったのか、引き続き下里さんに具体的な流れを語ってもらいましょう。
(以下、翔子さん提供の情報)
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コンパクト・スキームのガイダンスが始まったのは今年の1月中旬でした。外国人学生だけを集めた集会が開かれて全員にガイドラインが配られました。この頃既にルートAのインタビューを控えている生徒がいたので、パーソナルチューターによるポートフォリオのチェックも始まっていました。
コンパクトを使う生徒は配られたガイドラインに含まれていた書類(パーソナルステートメントを含む)を完成させ、2月8日までに提出するよう求められました。コンパクトを使わない生徒であっても、書類に「使いません」と書いて提出しなくてはいけませんでした。
(私自身は書類提出をすっかり忘れていたのですが、一週間ぐらいしてインターナショナル・オフィスのスーザンが取りに来ました。という事は、ちょっと遅れ気味だがこれからでも申し込める?かもしれない、ということでしょうか)
コンパクトで併願申込できるコース総数は5つだと思います。ルートAとルートBを合わせた申し込み可能数も5つだし、皆3つ4つ申し込んだといっていましたから。
自分が在学しているカレッジにそのまま進学したい場合は、2月後半に面接があります。
それ以外のカレッジの面接については3月前半からローテーションが組まれています。
(これらの面接の前に一度アセスメントがあるので、ポートフォリオは再びチェックしてもらえます。アセスメントより前でも頼めば見てくれます。少なくとも私が在籍するウィンブルドン・カレッジでは。)
コンパクトのオファーの賞味期限は3月14日なので、ルートBで他校に申し込みたい人はこのオファーを断らなくてはいけません。
コースによってコンパクトを実施しない所もあるようです。
これでお役に立つかどうかは謎ですが…私が知っている範囲ではこんな感じです。
ところでルートAのごたごたの最中でIELTSのスコアをコピー含め紛失しました。必死で探しています。本当に胃が痛いです。
更に質問がありましたらまた連絡を頂ければ何とかお答えします。
<用語集>
パーソナルチューター
担任のこと。
インターナショナル・オフィス
ここではウィンブルドン・カレッジの中にある留学生担当部門のこと。コンパクトの手順説明、面接のセット、授業料支払いの指示、入学書類の発行などのこまごましたケアはこの部門が行う。
スーザン
ウィンブルドン・カレッジの留学生担当部門にいるヤングな担当者。
オファー
ここでは、進学先学部課程からの合格内定のこと。
コンパクト・スキームについてだいぶスッキリしたところで、ファウンデーションでやるプロジェクト(課題)について、引き続き翔子さんのレポートをご紹介します。
エピソード3: プロジェクト
2007年3月7日(金)
Sent: Friday, 07 March, 2008 8:31 PM
Subject: Re: お久しぶりです
こんにちは。
私のレポートがお役に立てて嬉しいです。こんなので良ければ…。
勿論、ホームページに掲載して頂いて構いません。名前はそのままでも大丈夫です。
お任せします。
確かに思えばこの1年は怒濤の勢いでした。
(ユニコンがなければどうなっていた事やら…)
結局fine artをやる事になるなんて予想外だったような、ああやっぱりと感じるような。
fine artにしようと決めたのも講師との話し合いの結果です。
嬉しそうにようこそ負け組へと言われました。
ターム毎に個人講師とのAssessmentがあるのでその時は今までの作品を見せつつじっくり話し合いが出来るのも有り難い所です。
生徒も優しいですし、クラス全員お互いの顔は一応覚えてるみたいです。
どんなに寡黙人見知りな雰囲気を出していようと、面白いものさえ作っていれば話しかけて来てくれます。人見知りしない人なら割合簡単に友達作れるんじゃないでしょうか。
私は対人恐怖症一歩手前なので話しかけられる度にゲェッと思っています。
面白い授業の一例ですが、前々回はナショナル・ギャラリーで一つ作品を選び、それを自分の解釈で改編(Transcribe)して新しい作品をつくる、というのがありました。
二週間のプロジェクトでしたが同じ作品を選んだ生徒でも解釈に違いがあったり、有名な絵画が新しい媒体で生まれ変わったりと面白い作品が沢山。最終日にはナショナル・ギャラリーから職員の方が見え、生徒と話したり写真を撮っていきました。
大体いつもfine artの最終日は本気で展示するのでまるで卒展です。
数ヶ月後の本物の卒展は更に面白く、見応えのあるものになると思います。
それに向けてより面白いものが作れるように頑張っていきます。
<用語集>
ようこそ負け組へ
Fine art を選ぶとどうして「負け組」なのか?それはズバリ、Fine Artは芸術として崇高な分だけカネになりにくい分野だからである。デザイナーであれば企業に勤めるなどして食いぶちを稼ぐこともできるが、芸術家はそうはいかない。いったん当たれば大当たりだが、ほとんどの人は貧乏暮らしを余儀なくされる。とはいえ、やはりアート&デザインの真髄はFine Artにあり、UALの教育哲学もここに深く根ざしている。
そういうわけで、Fine Artistたちは誇りを持って(?)自分たちのことを「負け組」と呼ぶのである。
Assessment
作品の評価・成績づけのこと。とはいっても、一方的に教師が○点、と言い渡すのではなく、なぜこのような作品を作ったのか、いい点はどこか、問題点があったとすればどこだったのか、さらにこの作品を発展させていくとすればどうすべきか、などの話し合いをする場でもある。
ナショナル・ギャラリーというのは、大英博物館と並んで英国有数の財産(美術品)を擁する、国内随一の美術館です。ここにある作品を自分の解釈で作り変えてしまえ、というのが課題とは?!日本人の感覚からすると、かなり恐れ多いですね。
しかも、それを勝手にやるだけならばまだしも、かの美術館の職員がわざわざ学校に出向き、18,19歳の若い学生の(恐れ知らずの)作品を見て彼らと対等に話をして帰るとは。なんとも英国の美術教育の懐の深さを思い知らされるエピソードで、さすがのユニ子もちょっとたまげました。
こういったことは学校側にいろんな意味での力がなくてはできないことで、改めてUALの底力を感じました。普段あまりにも近くで付き合いすぎているために見えなくなっているけれど、ヤッパシUALってすごかったのね。実務面が異常なまでに雑とか、スタッフがすぐ消えるとか、みんなで寄ってたかっていろいろ悪口いってごめん、UALよ。キミはやっぱりすごかった・・・(でも私たちの愚痴も当たってるんだけど)。
投稿者 unicon : 18:21