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2008年08月29日

【この人に聞きました】File4. H.Yさん

Chelsea卒業生が欧州系の国際アパレル企業日本立ち上げメンバーに

写真1

 Chelsea College of Art and Design(チェルシー・カレッジ)卒業生のH.Yさんが、欧州系アパレル大手の日本事業立ち上げのマネジメント・メンバーに採用され、ヴィジュアル・マーチャンダイザーとして就業しています。

 本人の希望により、彼女の本名や社名をまだ公表できないのが残念ですが、日本への上陸が待ち望まれていた大手国際アパレル企業で、今後の発展が楽しみです。

 Hさんは2006年、ChelseaのGraduate Diploma in Interior Designに入学し、翌2007年夏に帰国しました。東京の大学で英米文学科を卒業した後、主にアパレル・繊維業界で就業経験を積んだHさん。そのなかでヴィジュアル・マーチャンダイザー(以下VM)という仕事に出会ったのが彼女の転機になりました。「前職でVMを経験したとき、これが天職だと感じ、VMとしての自分をもっともっと高めたいと思いました。そのために自分に足りないものを少しでも補うための努力をしたいと思い、考えた末に留学・退職を決めました。それからユニコンとの出会い、念願だったアート&デザインの勉強と語学力を高めるための留学をし、現在に至っています。」と振り返るHさんがロンドンへ渡ってきたのは31歳のときでした。

写真2

 「あの留学は本当にかけがえの無いものだったと誇りに思います。IELTS、極貧、課題etc…よくやったなーって思いますよ!」という一年間を終えて帰国した後、就職先を探そうと動き出したときに、日本事業立ち上げのマネジメントスタッフを探していた現在の就業先との出会いがありました。当時はまだ日本国内にオフィスもない段階で、面接する場所すらおぼつかないという状態だったそうです。そんな「初期の初期」段階からVMとして立ち上げに参加することになったHさん。入社と同時にヨーロッパをはじめ世界中を研修で飛び回っていましたが、今月やっと日本へ戻り、日本1号店のオープン準備に突入します。

 「今でも、人に感想を聞かれると一言で”大変だった“と答えますね(笑)。決して笑って”楽しかったよ~“なんて言えませんからね~」というHさんですが、そんな諸々の試練を乗り越え、「かけがえのない留学生活だった」と言い切れる今、こんなコメントを寄せてくれました。

 「今回の留学を経験し、“思い続けていることは、ちゃんと叶えられるんだな”と実感しました。“気持ち”は勇気につながって、それは“思い”を形にしてくれる。そんな人生をこれからも歩んでいきたいって思います。」

 ところで、Hさんの「大変だった、笑えない」でも「かけがえのなかった」留学生活とはどんなものだったのでしょう?Hさんが留学時代の様子を語る体験談、興味のある方はこちらを訪れてください。

 
 
 

<写真解説>
1.課題をすすめるにあたり、実験とそのスケッチを何度も行う。これはそのmodel sketchの一部。
2.最終のプレゼンテーション・ブックの一部。

投稿者 unicon : 12:16

2008年08月15日

【この人に聞きました】File3. 早野実希子さん

常に新しい“美と健康”を追求し続けるLCF卒業生

早野実希子さん

 London College of Fashion(LCF、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション)卒業生の早野実希子さんは、現在、名古屋と東京・六本木で内外美容を提唱するサロン「ABSOLU HERBEEN」を展開しています。「Absolu Herbeen」とは、フランス語で絶対という意味の「Absolu(アブソリュ)」とHerb(ハーブ)を体内に取り込むという意味の造語「Herbeen(ハービン)」を元に生まれた名前だそうです。表面的な「美容」だけでなく、ホリスティック(総合医療)の考え方を取り入れた早野さんのオリジナルトリートメントは、著名人を含む世界中の多くの顧客から支持されています。

 じつは早野さんには、LCF留学当時の2000年、ユニコンのホームページにコース奮闘記を寄稿してもらっています。早野さんの通っていたコースはBTEC HND Beauty Therapy and Health(現FdA Beauty Therapy and Health Studies)。
当時の寄稿文からも、常に高い目標を持って全力で突き進むという早野さんの真摯な姿勢が伝ってきます(早野さんの留学生時代の寄稿文はここから)。

Herb
 
 
 「ロンドン留学が私の人生で最大の転機でした」と振り返る早野さん。薬科大学を卒業後、薬剤師として特に漢方への造詣を深めた後、さらなるキャリアアップと自身の人生のテーマである「美と健康の追求」のための渡英でした。

 

ABSOLU HERBEEN NAGOYA

 ところで、この早野さんも、前回ここで紹介した上田美和さんと同じ29歳で留学をスタートしています。帰国後すぐに地元で自分自身のビジネスを立ち上げ現在に至る、という経緯も同様です。分野は全く違うものの、ほぼ同時期に同じ年齢で留学してきた女性二人、こうしてそれぞれ活躍しているのを見ると頼もしい限りです。留学時の年齢について、当時の早野さんも上田さんと同じく「29歳では遅いという人もいましたが、私にとっては最良の時期だったと思います」と語っています。

 「タイミング」というのは人それぞれ違います。高校卒業後すぐに海外へ出ることがベストという人もいれば、上田さんや早野さんのように、大学卒業~まとまった期間の就業という経験を経ての留学がベストという人もいます。留学年齢に模範解答はなく、「自分が今だと感じたときがそのとき」なのだということを、彼女たちの人生から教えられる気がします。

ABSOLU HERBEEN ROPPONGI


 東京・六本木店は完全プライベート制のため予約者のみに所在地が伝えられます。六本木ヒルズから徒歩3~4分の好ロケーションです。名古屋店は地下鉄東山線藤が丘駅を出てすぐ。詳しくは早野さんのホームページを訪れてください。彼女が登場しているメディア紹介もあるので要チェックです。あなたの部屋にある雑誌にも、早野さんが登場しているかもしれませんよ。


 
Absolu Herbeenホームページ http://absoluherbeen.com

<ABSOLU HERBEEN NAGOYA(名古屋)>
 〒456-0048
 名古屋市名東区藤見が丘13
 Tel: 052-775-1966

<ABSOLU HERBEEN ROPPONGI(東京・六本木)>
 完全プライベート制のため住所非公開
 (予約時に案内)
 Tel: 03-6638-6979

投稿者 unicon : 10:56

2008年08月04日

【この人に聞きました】File2. 池田中也さん

CSM卒業生がRoyal Academy Summer Exhibitionに出展中

RAでの展示風景

 Central Saint Martins(CSM、セントラル・セント・マーチンズ)卒業生の池田中也さんの作品が、英国Royal Academy of Arts(RA)で開催中のSummer Exhibition 2008にて展示されています。RAのSummer Exhibitionはロンドン美術界の夏の風物詩で、世界最大規模の現代美術の展覧会です。なんと、1769年から中断することなく開催されていて、今年で240回目を迎えます。有名・駆け出し問わず幅広い作家の作品が集められ、今年も1200以上の作品が展示されています。

 池田さんは2004年、ロンドン北部の高級住宅地Highgateへ降り立ち、St Gilesカレッジで英語の勉強をスタート。その後、CSMのGraphic Portfolioコースを経て翌2005年に同カレッジのMA Communication Design(Graphic Design)に入学しました。2年間という英国では珍しい長丁場の大学院コースでしたが、2007年に卒業し、現在に至ります。留学のきっかけからここまでの道のりを池田さんにインタビューしました。

 池田さんは日本で広告代理店のアートディレクターとして働いていましたが、職を辞して留学しようと思った動機は何ですか?

 約5年間働いて、ある程度、仕事の仕方が分かってきたんですね。また、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、日本社会の閉塞感はデザインの分野にもあまり良い影響を与えていません。さらに日本のデザイン界、アート界含め「海外」「世界」というものに憧れつづけているわけで、これは自分も同じだったんです。そこで、実際に肌でそれらを感じてみたいというのが一番の理由でした。また、自分のなかのデザインの“引き出し”を増やす意味でもありました。

Graphic Portfolioコース時代の作品


 語学学校の後、まずCSMのGraphic Portfolioコースに進みましたね。
 はい。初めて西洋の「クリエイティブ」の考え方を垣間みることができて、とてもおもしろいコースでしたね。ビギナーから経験者までさまざまなレベルの生徒が受講することができますが、2週間で一つの作品を作らなくてはならず、とてもハードなコースでした。でも、その分ためになったと思います。

 私は日本の美大も卒業していますが、基本的にイギリスでも、コンセプトの組み立て方などは日本のそれと変わらないと思います。しかし、コンセプトの“切り口”が違うというか、物事を違う方向から眺めてみるというか・・・。それでいて、表現手法はプリミティブだったり。全然ハイテクでなく、手作業を多用するのです。それはセントマーチンのスタイルとでも言えるのかもしれませんが、さすが、発明の国イギリスといった印象でした。故に、デザインにもかかわらず、難解な作品も多いですね。この独特のスタイルを理解するまでは少し苦労しました。

 次の大学院コース、MA Communication Design (Graphic Design)はどうだったのでしょう?
 MAでは、BA(学部)と違って自分で課題を決めなければなりません。さらにそれに対して大量のリサーチを一週間毎のチュートリアルの際に持って行かないといけませんでした。時には、辞書の厚さになるようなリサーチを求められる事もあります。それを西洋人はすんなりやって来る事が驚きでしたね。この年のクラスメイトは多くて、100人弱、国籍では38カ国と言っていました。そういった中で、彼らの作品や、モノを作る事に対する姿勢には敬意を感じずにはいられませんでしたね。クラスメイトの顔ぶれは、もちろんMAということもあり、既にデザイナーやフォトグラファーの経験をしてきている生徒が多かったです。年齢は20代後半の生徒が多かったですが、なかには40歳ぐらいの生徒もいました。わたしたちの作品は以下から見る事ができます。
http://www.net-arte.com/macd2007/index.asp

英語についてはどうでしたか?池田さんは「社会人経験者=英語に久しく触れていない」ということで苦労したのでは?

 とても(笑)。語学学校時代に基本的な事は習ったとはいえ、美術学校となると、それ独特の言葉や表現がありますから大変です。そういったアート英語は、Graphic Portfolioコースで次第に学ぶことができたと思います。が、それでも作品のコンセプトを説明する際はさらに、広く一般的な言葉まで憶えないといけないし、さらに複雑なコンセプトとなると、もう大変で(笑)。日本で大学に入ってしまうとほとんど英語の勉強などしない上、私の場合はさらに社会人歴が5年あるので、渡英してからの英語学習にはかなり苦戦しました。なので、いま留学を考えている方は、受験勉強をしたときのように地道に英語に向きあったほうがいいと思います。

speakers corner

 プレゼンが大変なあまりマッシュルームヘアのかつらを被って緊張を紛らわしたとか(笑)?
 ええ(笑)・・・って、それは冗談ですが。マッシュルームヘア+スーツ+白手袋の格好でハイドパークの“スピーカーズ・コーナー”でパフォーマンスをしたのです。それもGraphic Portfolioコースの課題の一環で、プレゼンテーションの練習の一つでした。結構笑ってもらえたので一安心しましたが(笑)。

MAの卒業作品

 MAコースでの池田さんの作品について教えてください。

 作品の大きなテーマは「ギャップ」です。私がイギリスに来て初めて感じたのはそれでした。文化間のギャップであったり、世代、ジェンダーのギャップであったり。もしそのギャップを埋める事が可能ならば、我々のコミュニケーションはさらにスムーズなものになるのではないか、というのが起点です。結局それは不可能、という結論にMAで書いた論文で行き着いたのですが・・・。かといって、それは悲観的な結論ではなく、お互いが近づくためのコミュニケーションの媒介としてデザインやアートが存在すべきだし、それによってあらゆる隔たりを超える可能性があると結論づけました。私の通ったセントマーチンのMAコースでは論文を書いたあとに作品を作るのですが、この方法は頭の整理に大変役立ちました。作品では、最終的にその「ギャップ」そのものを表現しました。このシリーズは卒業した今も制作を続けています。ちなみにその後、MAの卒業作品をUALのコレクション(ボンドストリートのUAL本部4Fに常設展示)に入れていただきました。

作品

 MAコースを終え、今年は展覧会の機会がぐっと増えていますね。
 はい。RAのSummer Exhibitionを皮切りに、Jerwood Drawing Prizeにもノミネートされました。とくにアートビジネスに於いての話ですが、日本の美大と違って、こちらの大学は社会と“近い”と思います。美大以外の大学もそうなのかもしれませんが、特にアートの分野になるとより近いと感じるのです。このようなexhibition(展覧会)で購入者を見つけられることはもちろん、大学の卒展でさえ作品の売買は“普通”なんですね。世界的な経済の視点からみても、ロンドンにはアート購入者やギャラリーが多いし、それより以前に、西洋の人々は個人レベルでアートを購入して行くことが驚きでした。実際卒展でも、展示をみた学生から私の作品を買いたいというオファーをいただきました。こうして一般の人々が西洋のアート界を支えているのを目の当たりにして、「いい環境だな」ととてもうらやましく思えました。そういう意味で特にアートを志す人であれば、ロンドン留学を強くお勧めしますね。

 
 
 


<池田さんの展覧会情報>
●Royal Academy of Arts Summer Exhibition (開催中~2008年8月17日)
  http://www.royalacademy.org.uk/exhibitions/summer-exhibition/
●Jerwood Drawing Prize 2008(現在、賞は審査段階 2008年9月17日~10月26日)
  http://www.jerwoodspace.co.uk/
●Patrick Heide Contemporary Art(2008年10月予定)
  http://www.patrickheide.com/home_en.php
●London Art Fair(2009年1月)
  http://www.londonartfair.co.uk/page.cfm

投稿者 unicon : 15:21