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2008年12月08日

【この人に聞きました】File8.照井亮さん

CSM卒業生がAERA Englishの特集に登場



 Central Saint Martins(CSM、セントラル・セント・マーチンズ)卒業生の照井亮さんが、11月23日発売の「AERA English 1月号」内の特集「海外で挑戦する日本人」に取り上げられました。


 照井さんは日本で美大を卒業後、数年のデザイン事務所勤務を経て2005年にユニコンを訪れ、CSMのMA Creative Practice for Narrative Environmentに出願し合格。翌2006年夏に渡英しました。2年間の大学院コースを2008年7月に卒業し、現在はLumsden at Small Back RoomというRetail & Environment(商業空間デザイン)を専門とする英国のデザイン・コンサルタント会社に勤務しています。学生時代にはじめたインターンがきっかけでそのまま就業することになり、現在インターン期間を含め1年半勤務しています。


 現勤務先ではインテリアや空間デザインを担当する照井さんですが、日本の大学での専攻は情報デザインだったそうで、学部時代とは全く畑が違います。そのことについて質問すると「たしかに僕はもともと2D(平面)デザイン出身ですが、東京で勤めていた会社がインテリア、グラフィック、プロダクトなど多岐分野をカバーするいわば“何でも屋”だったので、そこで幅広くいろいろなデザイン分野の仕事を経験しました。そこでもっと大きな視点でデザインというものを見て仕事を全面プロデュースできるようになりたいと思うようになったんです。それが留学を決意したそもそもの始まりで、3D(立体)デザインに転向するためにロンドンに来たんですよ。なので、日本での社会人時代の経験と留学で学んだことがちょうどうまくつながって今に至る、と思ってます。」と語ってくれました。


Final Workの写真


学校での作業風景
 「MAで得た最大の財産は人脈です。コース参加者のほとんどはプロとして何らかの仕事を経験してきた人たちでした。スクリプト・ライターやキュレーターなど、デザイナーだけでなく芸術分野からさまざまなバックグラウンドの人が集まっていました。また、そういう他分野の人たちと一緒にプロジェクトをすすめていくことで、より大きな枠組みの中での”デザイン“というものが分かるようになったことも大きな収穫でした。」という照井さん。現在の会社でのインターンも、コースワークの一環として教授の紹介ではじめたそうで、「教授は各界に広いコネクションを持っている人で、プロジェクトやリサーチをすすめる際にとても役立ちました。ある点で行き詰ると必ずその道の専門家を紹介してくれたおかげで、学校の外にも皆それぞれこの先進んでいきたい方向にマッチした人脈を築くことができました。」とのこと。

Final Presentationの模様 
ところで照井さん、コースでの一番の泣き所はやはり“英語”だったようです。ブリティッシュ・カウンシル東京の英語コースと、ロンドン芸術大学(UAL)がコース開始前の留学生を対象に行う夏の英語予備校を経てMAをスタートした照井さんですが、それでもクラスメイトとのコミュニケーションには苦労したそうです。大学院課程ともなると、“クラスにたった一人の日本人”という状況も決してめずらしくありません。照井さんの場合には幸いにもあと一人日本人学生がいたそうですが、その彼女はBA(学部課程)から上がってきた人。渡英したての照井さんよりはずっと“現場慣れ”していました。こんな環境のため大学院コースの開始当初は勉強の大変さとストレスでげっそり体重の落ちた照井さんでしたが、それでも奮闘していくうちに同級生たちと互いに刺激しあえる関係を築けるようになりました。「英語に自信があるかって言われたら今でもないですよ、全然。大変で!」と謙遜しながらも大学院を無事に卒業し、英国でデザイナーとして勤務しているのですから、努力が確実に実を結んでいるのに違いありません。「卒業制作提出直前の夏場は今考えると本当に地獄でしたね。6時にインターン先の勤務が終わって、それから夜の11時まで開いているUAL本部ビルの学習スペースに篭ってひたすら作業・・・という毎日でした。週末は別のアルバイトもしていましたし。」と追い込み時期を振り返り、「ずっと走ってきたので、今年の冬は日本に里帰りしてのんびりするつもり」と、やっとリラックスできるという喜びをにじませていました。




 「今勤めている会社は、メインの顧客がロンドンの主要美術・博物館という、かなり大きな仕事をしている会社です。なので、そこでもう少しいろいろな経験を積んで実力とハクをつけてから日本に帰って自分のやりたいことを自由にやろうと思っています」と今後の展望を語る照井さん。どのように実現していくのか、今から楽しみです。




 

AERA English: http://publications.asahi.com/ecs/13.shtml

Lumsden at Small Back Roomホームページ: http://www.ldp.co.uk





<写真解説(上から)>

1.照井さん

2.Final Workの写真

3.学校での作業風景

4.Final Presentationの模様

投稿者 unicon : 12:47