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第05話:ロンドン一番乗り

あわよくば、LCF(カレッジ・オブ・ファッション)での1年が実りある楽しいものであったら(休学してきた日本の大学は退学して)そのままロンドンでの留学を続けよう、と心密かにトラたぬ算段(取らぬ狸の皮算用)をしての渡英をした福子さん。さて、5分間の断言アドバイスで決めたFashion Portfolioコースの実態は?

●●● 福子のLCFライフが始まった(2001年9月)●●●


エピソード1:これがファッションの勉強なの?
??初日授業は校内マラソン・デッサン!??

「これで将来は舞台衣装デザイナーね、へっへっへっ」と軽くその気になって登校した LCFでの第一日目、教室に入るとチューターが全員にスケッチブックと鉛筆を配りました。

チューター:
今からドローイングをやります。各自これから校舎内の好きなところへ行って、そこにあるものをスケッチして5分間以内に帰ってきてください。
わたし:
どこに行こうか、と、校舎をうろついてるうちにボディ(トルソー)を置いている教室を発見。これにしようっと。大きいもののほうが描きやすいし、ボディってなんかファッションっぽいしィ。
スケッチ1回目: 描き終えて教室に戻る)
チューター:
おかえりー。さっそくだけど、今スケッチした場所に戻って、同じものを違う角度から描いてきてください。
わたし:
えー、またかよ。
スケッチ2回目: 描き終えて教室に戻る)
チューター:
もう一度今の場所に戻って、同じものの一部をクローズアップして描いてきてください。
わたし:
はぁー、三度目だぜ。
スケッチ3回目: ふぅ)
チューター:
今度はアウトライン(線)を描かない表現方法で同じものを描いてきてください。
わたし:
えーっ四度目だぜ。ていうか線を使わないで描くってどういうこと?
(・・・しばし考え、そこの場所の影を黒く塗って持ってくる)
スケッチ4回目: ゼェゼェ)
チューター:
ふぅん、みんなおもしろいわね。次は違うものを選んで利き手じゃないほうの手で描いてきて。
わたし:
わーい、やっと違うものを描けるど。今度は小さいものを描こうっと(そのまま教室に残りそこらに転がっていたはさみを選ぶ)。ボディは描きやすいけど形が単純だし何度も描いてもう飽きたもん。はさみはちょっと複雑な形だから楽しめるかも。
スケッチ5回目: 皆が戻ってくるのを待つ )
チューター:
次は階段ホールに行って、2本の指だけで鉛筆を持ってドローイングしてください。

(全員で校舎の階段部分へ行き、踊り場に陣取ったり階段の途中に座り込む)
わたし:
そう言えば何を描けとは言われなかったよね。みんなは何描いてんのかな?(と見渡すと、踊り場から階段にかけての空間全部を描いている人、手すりを描いている人、階段の2段分くらいをクローズアップして描いている人、落ちてるゴミを描いている人など色々。ふーん。じゃ、わたしは階段の端っこでも描いてみるか。
(線がへろへろしていてちょっとお習字的。新鮮な感覚)
スケッチ6回目: 描き終えて教室に戻る)
チューター:
階段ホールに戻って、今度は鉛筆をグーで握ってドローイングしてきてください。
わたし:
同じものを描けとは言ってないのだから、別のものを描こうっと。
(木製の階段の手すりと踊り場が交差点に彫刻してある飾りを写生しました)
(6回目とは別の意味でコントロールがきかず、自分の力のごつごつした感覚を味わいました)
スケッチ7回目: 描き終えて教室に戻る)
チューター:
今度は描く対象に目線を固定したまま同じものを描いてきてください。
(スケッチブックは見るな、ということね)
わたし:
スケッチ8回目: 飾りに目を据えたまま描き終える)
チューター:
同じものをもう一度描いて来て。ただしスケッチブックを見ながらでいいから、手で触って形を確かめながら描くこと。
わたし:
スケッチ9回目: 飾りをさわさわしながら描き終える)
チューター:
最後です。目を閉じて対象を手で触りながら、ワンライン(ひと筆)で描いてきてください。
わたし:
スケッチ10回目: ゴールイン)




3,4回目あたりまではチューターの狙いがわからないので全員狼狽気味だったが(なんか、全然ファッションと関係なくない?)、後半は「次は何がくるのか」とむしろワクワク。ファッションもやはりデッサンのウォーミングアップから始まるのだというUAL哲学を印象付けたスタートでした。この後も、年間を通して一般的なアート&デザインのプロジェクトが必ずどこかに入りました。


☆★一般的なプロジェクトとは、CSMやチェルシー、キャンバーウェルなどのファウンデーション・コースでやっているような「general art & design」のプロジェクトという意味で、これには立体造形、ドローイング、ペインティング、コラージュ、写真など、「ファッション」とは直接的には全く関係のなさそうな内容が含まれました。もちろん、ファイン・アーツを下敷きにしたアート&デザインのファウンデーションほどは深くないしコマ数も少ないけれど。カレッジ・オブ・ファッションだからといって、1から10までもろにファッションと直結する勉強(ファッション・スケッチや服のデザイン、パターン、服作りなど)をするところと思ったら大間違いですね。

2001年の日本
●純ちゃん(小泉純一郎)内閣総理大臣就任
●愛子様ご誕生
●イチロー選手メジャー(マリナーズ)へ移籍
●USJと東京ディズニー・シーの開業
●三井住友銀行誕生
●目立った芸能人:宇多田ヒカル、氷川きよし
●流行った曲:Can You Keep A Secret(宇多田ヒカル)
●流行語:聖域なき改革、骨太の方針

2001年の世界の一大事
●ジョージ・ブッシュ合衆国大統領就任
●その直後のアメリカ同時多発テロ(9.11)
●ユーロ流通開始

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