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第25話:さまよえる不良子羊

第21話で初登場のシマ子さん(福島県出身)、夢破れていったん日本に舞い戻ったものの、故郷(郡山)の畦道で再起を誓い、再びロンドンへ。MAへの道は開けるのか?

2005年春、シマ子さん再渡英
MA(しかもLSE)に出願
失意の中で新たな目標(MA受験)を見つけ不死鳥のように蘇った私は再渡英。
東京の大学での専攻学科は観光学部観光学科だが、将来の夢(アジアのホテル王)のためには数字(=ビジネス)を極めなくてはと考え、ターゲットをLSEのMA in Accountingに定めた。英語学校でIELTSコースを受講しながらGMATの勉強を並行し、LSEへの出願手続きを済ませた。
結果を待つ間に日本に一時帰国し大学を無事卒業(休学扱いみたいなものだったので)。周りの皆が就職だ、大学院だと進路が確定している中、宙ぶらりんな状態の自分にちょっぴり焦る。卒業式の後、ロンドンにリターン。

真夏のサクラ
願書を出して3ヶ月以上経つというのにLSEから何の連絡もこない。待ちくたびれて入学課に問い合わせたところ、「そんなものは受け取っていない」と云われた。絶対失くしたに決まってる…と言う確信はあるのだが抵抗しても無意味だろう(無いものは無い、と言われるだけ)。
イギリスの郵便サービスを盲信した馬鹿な私を許してください、と日本にいるゼミの教授に泣きつき、リファレンスを再郵送してもらい再出願に漕ぎつけた。しかしされどそれなのに、苦労報われず、サクラ散る。

LSEのバカヤロー(ゴメン、LSE)
それでもあきらめきれない私は、LSEの担当教授一人ひとりにメールを送りまくり、熱意を持って入学許可を訴えた。出願書類も再度送ってみた(今思うと相当アホだが、ひょっとして見落とされているのではないかと一縷の望みを抱いたのだ)。
だがある日、入学課からの完璧な不合格通知を受け取る。きっとブラックリストに載ってしまったのだろう。また一つロンドンで近寄れない場所を一つ作ってしまった。

2005年8月:さまよえる不良子羊
自分でやれることはやったつもりだが、結果が出なかった2005年・夏。渡英して約一年が経過。まだ何一つ手に入れてない・・・!
仕方なくまた語学学校に戻るが、当然ながら全然面白くない。かといって何から手をつけていいのかわからず、悶々と空白の日々を過ごす。そのうち、語学学校をさぼり図書館で好きな本を読みふける不良少女に。

ちなみにロンドン同時多発テロが起こった時刻には図書館にいて、(私の安否を確認する)日本の姉からの電話でテロの事を知りました。


■■シマ子さんにインタビュー■■
◆心に残る一冊 :武家の女性
◆好きな作家 :村上春樹
◆心に残る映画 :The Pursuit of Happiness、Life is beautiful
◆好きなブランド :Christian Dior(バッグ)、Yves Saint Laurent(化粧品)、Jaguar(車)、Chanel(香水)、服については特に好みがありません。
◆クールな人(かっこいい人) :織田信長
◆今度生まれ変わったら :魔法使いに生まれたい
◆ロンドンで一番美味しいもの :Camden TownのThanbin(ベトナム料理店)のカニの揚げ物(ブラック・ビーンズのピリ辛風)
◆最も通ったレストラン :Tottenham Court Roadにある韓国レストラン
◆日本から輸入したいもの :スケスケでもペラペラでもない可愛い下着
◆ロンドンでの得意料理 :大根の煮物風ズッキーニ
◆日本より安いもの :お湯沸かし器(5ポンド)
◆どこのガイジンが一番付き合いやすかった?:バーレーン人


ホームスティの感想
親を安心させるには一番。料理も掃除もしなくて良かったのは怠惰な私には最高だった。しかし、ホスト・ファーザーの発音は4年たった今でも聞き取れない。



●●静子、キングス城脱出直後の幸せなひと夏を回想する●●
2005年LSE2年生の静子、1年生時代を振り返るの巻(パート1)

2003年夏:真夏の夜の夢
キングス城を出獄した2003年の夏、私はそれまでの分を取り返すべく、3ヵ月間遊びまくりました。ヨーロッパを旅したり日本に一時帰国して買い物したりバイトしたり(これで完全リフレッシュ!!)あ、もちろん帰国前に学生寮の申込みをしたり、LSEにIELTSのスコア用紙を提出しに行ったりと、入学のための事務手続きはしっかり済ませておきました。

LSEにIELTスコアを届けに行ったときの話ですが、イギリスの郵便サービスはあまり信用できないし、郵送料も浮くしっ♪と思い、直接LSEの受付に行ってスタッフに手渡しました(LSEはKing'sの向かいにあるのでとても便利でした)。
しかし!! それから1週間後にLSEの Admin(教務課)からメールが届きました。その内容は「IELTSのスコアを提出してください。○月○日までに提出しないとオファーが取り消されてしまいますよ」というもの。信用できないのは郵便事情だけではなかったのか…。

今の(2008年現在)私なら「おいー、ついこの間手渡ししたじゃないか。書類管理くらいしっかりやってくれよ」と、怒りながらも諦めがつくのですが、当時の私はまだロンドン歴1年のかわいい18歳。不安になって翌日IELTSスコア用紙のコピーを握って(ちゃんとコピーしておいてよかった)LSEの受付にダッシュ。
荒い息を吐きつつ、メール発信人を指名。現われた当人に「IELTSスコアを提出しろってメールもらったけど、1週間前にここであなたに手渡したでしょ?」と抗議したら、「あら~そうだったっけ? ごめんなさい、こちらのミスだわ。まー、でも今コピー持って来てるんでしょ? だったら、それ、もらえないかしら?」(ははん、探すのが面倒ってわけね)…軽いっ…しかしウダウダ言ってもしかたないので「あい」とコピーを渡すしかなかったのだった。この適当さ、マニュアル国家・サービス命の日本人には結構コタエるのでは?

日本で散々遊んで9月中旬にロンドンに戻りました。Reading Listにある本を買ったり、寮生活のための生活用品をそろえたり、たまに本を読んだり、映画を見たり、遊んだりして。

そうそう、授業料の支払いも忘れずに。イギリスの大学は日本のように受験料だ入学金だ設備費だ寄付金だ、の意味不明な出費が無いのがいい。「授業料」のみをどかんと払い込むだけです。支払期限はコース開始当日で、私は締め切り1日前に1年分の授業料を小切手で払ったのですが、そんな時期の支払いに対しても早期一括払い者のための割引制度を適用してもらえました。こういう点はとても合理的だと思います。

コース開始前に新入生を対象に1週間のオリエンテーションがありました。学長のウェルカム・レクチャー、学生証やStudent Cardの発行作業、オイスター・カードに関する説明など、生活面でのサポートがメインです。色々なSociety(サークル)の勧誘もあり、興味があれば入会金(だいたい£1とか)を払うと簡単に入会できます。

暗雲再び?
オリエンテーションが終わるとLectureが始まります。
拘留時代(King'sのファウンデーション時代)、「学部に入ったら、今の倍は大変だからねっ」とチューターに何度も脅されました。当時の私は「またまたー。今でも死にそうなくらい大変なのに、これより大変なんてありえないわー。そんな脅しには騙されないもん」と思っていたのですが、チューターが脅していたわけでもなんでもないということが判明するまでそれほど時間はかかりませんでした。

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