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第08話:飛べ、2号

高校の教師には「留学すると人生後悔する」とまで言われたけれど、君にはやさしい(口数少ない)家族がついている。だからアヒル2号、飛べ、ロンドンへ。

静子さん、Highgateに着水(2002年4月)
3月高校卒業。4月5日、ロンドンに旅立つ日が来ました。田舎者なので、渡英前日に家族総出で東京入りをし、成田に近いホテルで全員一泊しました。 
翌朝、成田空港へ。妙に細かい話ですが、エコノミー切符なのにスーツケースは35kg。明らかに大幅重量オーバーでした。超過すると1キロにつき約7千円も払わなくてはいけないことを覚悟の上でチェックインしました。ところが「heavy」のタグをつけられたものの、どういうわけかそのまま預かってくれました(人生の幸運をここでかなり使い込んだ気がする)。そしてチェックイン。   

後に母親が語ったところによると、「ちょっとそこまで行ってくる」みたいなノリで去っていったそうです。出る機内食はすべて完食してちょっぴりの不安とわくわく感を胸に、ヒースロー到着。

ユニコン事務所経由でホームスティまでの出迎えサービスを頼んでいたので、きょろきょろしながら「静子」の名前を書いたボードを持つドライバーを探しました。が、見当たらない。すぐに見つからない場合はインフォメーション・デスク前で待つようにと指示されていたので、スーツケースをひしと握りながら待ちました。数分後「静子」ネームのボードを持つドライバーと遭遇。片言でちょろっと苦しい会話をしつつ北ロンドンのHighgate(ホームステイ先)まで送ってもらいました。

1時間後に無事ホストマザーと初対面!! 対面後もしばらくドライバーさんが後ろにぼーっとしてるので「何だろう?」と思いながら「Thank you」と精一杯伝えると車へ戻っていきました。今思えばチップを待っていたのかもしれない…。ドライバーさん用のおみやげ(おかき)を用意していたのに、テンパっていたのですっかり忘れていました。
ホストマザーと少し世間話をして、家のルールを確認し、疲れていたのでその日は就寝。

次の日曜、ミサに行くホストマザーに英語学校までの道を案内してもらいました。道の確認を済ませてからInternational Phone Card(テレフォンカード)を購入し、さっそく親に連絡。無事到着したこと、ホストファミリーに無事会えたことを話しました。

英語学校だよ。
英語学校はSt.Giles College(セント・ジャイルズ)の Highgate校(セント・ギレスと読んだ過去が懐かしい)。当日はまずクラス分けのペーパーテストを受け、その後スピーキングテストを受けました。
そして、休み時間。人見知りをするほうなので、「誰に話しかけよう。何て話しかけよう。」と迷いながらも勇気が出ず一人で緊張していたら、日本人の女の子が見かねたのか、話しかけてきてくれました。

当初は「英語を勉強しに来たのだから日本語は喋らないようにしよう、日本人とはあまり交流しないようにしよう」とガチガチに考えていたので、彼女の眼には多分、すごくむっつりした感じの悪い日本人に映っていたと思います。その女の子と話していくうちに、その子もユニコン学生であることが判明(なぜかホッとするわたし)。その日の午後、まだ右も左もわからない私をユニコン・ロンドン事務所まで連れて行ってくれました。

次の日にはクラスの友達もでき、友達になった日本人の子を通して友達の輪は更に広がり、一ヶ月もたつとブラジル・スペイン・ウクライナ・フランス・中国…と様々な国の人たちと交流を持てるようになりました。

St.GilesはSocial Programmeも豊富で、ミュージカルを格安で見にいけたり、週末はバスツアーの企画で学校の人たちと観光を楽しむことができました。

初めて見たミュージカルは"Phantom of the Opera"。チケットはなんと2500円くらい!! しかし「I love you」以外の英語は何を言っているのか全くわからず、かなりへこみました。へこみすぎて、ミュージカルに集中できなかった記憶があります。
週末のCambridgeやStonehengeへのバスツアーは、緑と羊以外何もないイギリスの田舎を見学できるよい体験でした。

ハウ・ポップ!
The Beatlesの「Hey Jude」を聞いてその歌詞を聞き取る練習(リスニング)をしたり、映画「Four Weddings and a Funeral」を見てその内容についてクラスの人とディスカッションしたり、「ドラキュラ」の本を読んでそれにまつわるテストをしたり、と、"ポップ"な授業内容に少し驚きました。高校ではそのような英語の授業はなかったので…。テキストを使って文法を勉強する真面目な授業と楽しい授業の組合せ方が上手だなぁと思いました。

ハウ・サプラ~ィズ!
私がSt.Gilesにいた2002年5月~6月に、日韓共同ワールドカップが開催されました。ロンドン中が異様に盛り上がっていましたが、St.Gilesにも大きなスクリーンとプロジェクターが用意され、終日試合の様子が放送されることになりました。スクリーンの設置で熱気が更にエスカレート、全員で遅くまで学校に残り試合観戦をしました。
ここで驚いたのが、突如出現した「St.Giles―ワールドカップのルール」。これは「自分の国が試合に出ている時はレッスンをさぼってもよい」というもの。えぇ~っっ、そんなのあり!?とかなり驚きました。
学校側から「さぼりOK」を提案されるとは……さすがサッカー大国、イギリスです。授業よりも、英語よりも、サッカー。



2002年の日本
●当時の首相:小泉純一郎
●ゆとり教育本格スタート
●小泉首相、訪朝
●田中耕一氏ノーベル化学賞受賞
●拉致被害者5名が帰国
●芸能人:浜崎あゆみ、Dragon Ash
●流行った歌:voyage、 H、もらい泣き(一青窈)
●話題の人:ベッカム様
●話題のクリーチャー:タマちゃん
●テレビCM:アイフルのチワワ
●事件:雪印牛肉偽装

(為替レート:1ポンド=180円)

2002年の世界では
●ソルトレイクで冬季オリンピック
●ワールドカップ日韓同時開催
●悪の枢軸発言(ブッシュ大統領)

(為替レート:1ポンド=180円)

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