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第19話:キングスの虜
〜ファイナル・エピソード:虜の逆襲〜

LSEからのよもやのオファー。しかし、まだ扉が立ち塞がっている。
キングスからの最後の挑戦、Final exam(卒業試験)がそれだ。虜は城抜けに成功するのか?

卒業試験始まる(2003年4月)
●エッセィの試験
科目試験では10くらいのトピックから2~3問を選び、規定時間内に書き終えなければいけません。こういう形のテストは未経験なので準備の仕方がわからず悶々としました。なんのトピックが出るかは当日までわからないし、習ったことを全て復習するのは不可能。こうなればヤマを張って勉強するしかない、と腹を決めました。
エッセイはただ字数を増やしても何の評価も与えられません。まず、代表的な著者数人の意見を上手にまとめて覚えておく必要があります。でも単に○○はこう言った、○○はああ言った、と引用するだけではダメで、それに対して自分はどう思うのかを彼らの意見を踏まえつつ論理的に語らなくてはいけません。
1年間かけて英国式Study Skillsを勉強してきたといっても、18歳まで一問一答方式に慣れされてきた日本人の頭にはかなり大変です。それでも何とかかんとかエッセィらしきものを書けるようになったのはキングスでの牢獄生活の賜物でしょう。

●アカデミック英語の試験
アカデミック英語の試験ではReadingやWriting、Listening、Presentationを評価されます。他にFinal Researchという卒論的な課題が出され、5000ワード程度のエッセイを提出しました。

キングス城からの脱出(2003年6月)
2003年6月末、コース終了日の前日に最終結果が廊下に張り出されました。
「B」です! やりました~。
これでLSE入学条件を全てクリア!! ばんざ~い!! 
最初が「D」だったことを考えると我ながら大進歩です。1年間苦労した甲斐があったなあ。
とりあえず今日から思い切り寝ることができます!

●戦いすんで…
今でも謎なのは英国大学の判断基準です。ファンデ仲間でやはりLSEのSocial Anthropologyに申し込んた日本人がいたのですが、彼女は大変優秀な学生でした。ファンデの1年間を通して私が彼女よりいい成績をとったことは一度もなかったし、最終成績も彼女はAでした。LSE熱も(ユニコンに言われてダメもとで申し込んでみるか、の私より)ずっと高かったのです。でも彼女はLSEからRejectionされました(UCLは合格だったのに)。なんで?
成績と同じくらいReferenceが大切だといわれているけれど、私のReferenceが彼女よりめちゃくちゃ良かったってことはあまり考えられないし。本当何が起こるかわからない英国大学のお受験です。

静子は見た! 哀れ、キングスの露と消えた仲間
ファンデ仲間のイラン人の男子(イラン君)はレクチャーもクラスにもフツーに出席する真面目な学生。が、プレゼンだけは大っっっ嫌いと見えて、その避けっぷりは見事なものでした…。
Lecture Reviewでは毎回誰かにプレゼン役が廻ってきます。1回のプレゼンで2人消耗するので、2,3週おきに自分に担当が廻ってくることになります。嫌々ながら皆でタスクをこなしていました(9人しかいないんだもん)。
さて、イラン君の初プレゼン日の第一声は「プレゼン用に準備したノートを忘れてきちゃった」。「勉強はしてきたんだけどプレゼンするにはnot readyなんだ」が2回目の言い訳。3回目以降は休んだり仮病を装ったりと、とにかく人類が考え付くあらゆる理由と手段を使ってプレゼンをばっくれ続けました。(それにしてもプレゼン準備をしないでクラスに顔を出せる度胸が今考えてもすごい)
最初は「しょうがない」で済ませていた教師も、途中から「学部に進んでも必ずやらなきゃいけないコトなのに、なぜ今やらないのか?」と激怒。それでもばっくれ続けるイラン君。そのうち教師も諦めモードっていうのか、何も言わなくなりました。(イラン君の図太さが勝ったのか?)(いいえ、今思えばこの時点で見限られていたのね)
そしてFinal Examの時が。これは最終評価を左右する超重要テストで、もちろんプレゼンも含まれています。初めて見られるであろうイラン君のプレゼンの話題でその日はファンデの仲間達と盛り上がっていました。
― イラン君は姿を見せませんでした。「家族の不幸で…」という理由で。もちろん、イラン君はFail(落第)と認定され、彼の姿を見ることはその後二度とありませんでした。


そのとき静子は! 恐怖の3時間レクチャー
2003年3月20日、ファンデの折り返し地点でイラク戦争が勃発しました。担当レクチャラーにとっては、もうこの上ないネタです。当然International Relationsのレクチャーやクラスは戦争の話で持ちきりになりました。
ある日の午後、レクチャーでいつものようにイラク戦争の話になりました。普段ならレクチャーの後は1時間のレクチャー・レビューとなるのですが、この日のレクチャラーはヒートアップ。1時間過ぎても話が止まらず、2時間経っても止まらず…結局3時間ぶっ続けで彼の熱い話を聞くことになりました。最初は興味深く聞いていたのですが、3時間ともなると(英語だし)集中力を保てません。ようやく話が止まったときには「あれは、ナシだろ~」と全員へとへと。(怖くて途中で止めてくれって言えなかった)

2003年の日本 ●六本木ヒルズ、オープン
●日経平均1982年以来の大底値を記録
●日本郵政公社誕生
●芸能人:シュワちゃん(カリフォルニア知事)
●スポーツ:朝青龍(モンゴル人初の横綱)
●流行った歌:世界に1つだけの花(SMAP)
●流行語:毒饅頭(野中広務)、マニフェスト

2003年の世界では ●イラク戦争
●SARS流行
●米軍フセインを拘束
●大地震と大津波の発生
(為替:1ポンド=190円)

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